30代 中国語を極めるまでの記録

語学学習の進捗・気づきなどを記載していきます

中国語検定3級未満の中国語力から半年で2級に受かった方法

こんにちは。

近ごろ暖かくなりだいぶ過ごしやすくなりました。

 

さて、今日は中検の第111回なんですね。

今日出題された問題はまだHPにアップロードされていないようですが、

過去問を見る限り3月に準1級合格というのは少し無理がありましたね(^_^; 

リスニングはまだしも筆記はかすりもしない程のレベル差ですw

もちろん4ヶ月前にみたときよりも壁は低く感じますが、まだまだ足りません。

 

ちなみに11月の試験から数えると今日まで1088時間ほど中国語の勉強に費やしていました(ほとんどリスニングですが)。

2級から準1級までは1000時間なんて情報をどこかで見た気がしますが、それはひとまず忘れて(笑)、懲りずに日々の学習を続けていきたいと思います。 

 

そして今日は標題の通り、中国語の学習を再開してから2級に受かるまでに私がやってきたことを書いていこうと思います。

本当は合格直後に書こうと思っていたのですが機を逸してしまってましたね。

ですが合格直後よりいまの方がより当時の実力を客観視出来ていると思いますので却ってしっかりしたものが書けるかも知れません。

また、私自身まだまだ勉強中の身ですので理解の浅い部分が散見されるかも知れませんが、その点ご理解の上暖かい目で見て頂けますと幸いです(_ _)

 

 

基本情報

①筆者:30代。会社員を辞めて現在進行形の無職。時間だけはたっぷり。 

②学習期間:2023年6月上旬~11月下旬

③開始時点のレベル:CEFR A2(中国語検定4級~3級)

 一応学生時代に中検3級にはギリギリの点数で合格していたが、1,2回受け直した記憶があるので、実力的には3級未満だったのだと思う。

④本番での得点:リスニング80点、筆記73点(共に70点以上で合格)

 ≓合格時点はCEFR B2相当の中国語力まで成長 

※半年間の伸びと本番での得点は下の画像を参照

 

  半年間の中国語力の伸び             各セクションの得点     






 

本番数ヶ月前から時間をかけてやったこと

基本的な戦略としては、この時期はなによりもまず試験のことは忘れてとにかく中国語の実力がつくような学習を意識した。

また、優先順位としては読みの力よりもリスニングが重要だと思ったのでそちらを中心にやっていった。

以下3つの期間に分けて記載する。

 

【①再入門期】中国語自体が十数年ぶりだったので、ピンインの読み方から始めた。

→入門卒業ライン:ピンインを見て発音、逆に音声を聞いてピンインを書くということがある程度の正しさで出来る(中検準4級相当)

学生時代の貯金がある程度残っていたので、このレベルは数日でクリアしたと思う。

 

【②初級攻略期】一度は受かった中検3級レベルを目指した。

→初級卒業ライン:中国語を中国語として認識出来ること(中検3級相当)

※↓下投稿を参照

kawawatan.hateblo.jp

まずは耳を慣らそうと思い「ひよこ中文」というサイトの音源を片っ端から聴いていった。※下投稿に詳述

kawawatan.hateblo.jp

また、この時期の総まとめ的な意味で文法書を一通り読んだ(理解は浅い)。

※下投稿に詳述

kawawatan.hateblo.jp

このレベルは学習開始から約3ヶ月でクリア出来たように思う。

 

【③中級突入期】少しずつ中国語が分かってきて一番伸びた時期。

→B1(中級前期)卒業ライン:短文でなく、ある程度のまとまった文章を聞いた時に理解=Comprehensible inputが出来ること※下投稿に詳述

kawawatan.hateblo.jp

この時期はとにかくがむしゃらにやった記憶。

日々壁にぶつかりながらも色々な教材を試していった。

いま振り返って分かることだが、中級に差し掛かると適切な教材があればリスニング中心の学習が出来るようになるので、余程読みの方が性に合っているとかでない限りそちらに切り替えていくべき。

特にネイティブが学習者に向けて中国語を使って文法・単語の解説をする動画を見れるようになったのがこの時期の大きな成長。

↓下はこの時期にはまって見ていた動画。中国語の勉強を中国語で出来て一石二鳥。

youtu.be

↓こちらの動画も3~2級受験者にちょうど良い難易度。短文攻略に最適。

Youtubeにあるものは全て2,3回は見たと思う。低予算感がとても良い。

www.youtube.com

これらの動画を見てるときに、「一字一句聞き取れているわけではないのに言っていることは分かる」という不思議な現象を初めて体験。

もしかして帰国子女の人はこういう風にして外国語を習得しているのかも知れない。

これが出来るようになったのは10月の下旬頃だったが、そこから筆記もリスニングもぐっと伸びたと思う。

ここまで学習開始から約5ヶ月

ちなみに、勉強の習慣がついてきたのもこの時期だったように思う。

 

 

本番直前期にやったこと

ラストスパートの時期ということで、本番前の一ヶ月間は毎日10時間の学習を自分に課した。

この時期にやったことの詳細は下の投稿に記載しているが、主にやったことは三つ。

 

①リスニングでHSK4級と5級の問題を活用した。

 中検の過去問とHSKのどちらが良いかは好みもあるだろうが、数をこなすならHSK一択だと思う。※中検は本文を二回聴く前提で作られているため

 

②語彙を詰め込んだ。

 遅まきながらキクタンの3級と2級の本を何周かした。

 中検は語彙力がモノを言うので得点力をつけるためには役立った。

 本当はもっとコツコツやった方が良いと思う。

 

③過去問に取り組んだ

 もう少し早めにやっていればとも思ったが、正直実力不足過ぎて解く気になれなかった。この時期になってようやく手が出せるようになったというのが実情。

 結局本番に間に合えば良いのでひと月前からでもそこまで問題はない。

 もちろん出来る人は早めにやるに越したことはない。

kawawatan.hateblo.jp

 

 

やらなかったこと

「何をやったか」と同じくらい大事なのは「何を捨てたか」だと考えるのでここに記載しておきたい。

 

①過去問の分析:一応出題形式は把握しておいたが、過去問を解くだけで頻出項目を調べたりなどはしなかった。2級は過去問を数年分解いていれば大事な項目は自然に身につくと思う。

 

②単語帳を用いた慣用句の暗記:2級では毎回慣用句絡みの問題が5問程度出題されるが、過去問を数年分解いていれば重要表現は身につくので特段キクタンの慣用句編などで学習する必要はない。私の受けた回でも4問出題されたが、これだけで3問正解出来た。

 もし不安な人は単語帳ではなく過去問を使用した方がずっと効率が良いのでそちらをオススメしたい。もちろん、慣用句はいかにも中国語っぽい表現が多く面白いので、興味のある人が息抜きとしてやるのはアリ。

 

③WritingとSpeakingの学習:まだ早いし必要でもないと思う。ネイティブと同じ順番の学習(聴→話→読→書)を心がけていたのもある。

 ※採点が甘いと言われている中訳も本番では55%(12/22)の得点率だったので、不安な人は少しは練習しても良いかも知れない。

 

④多読・精読:まず多読をする力がついていない(語彙力、中国語の基本的な理解力の面で)。また、中検の大問1は読解問題に見せかけた語彙問題なので単語を知っているかどうかが分かれ目。

 そしていわゆる精読と呼ばれる学習も特にしなかった。2級レベルではひとつひとつの表現をちゃんと抑えていくだけでまずは十分と思われる。

 

⑤高得点を目指すこと:当初から準1級という目標があったため、2級は突き抜けるイメージを持って9割以上の高得点を目指していたが、ある時期から合格することだけに集中した。そのままだと難しい単語にとらわれて本番でも基本的な問題が解けないということになっていたかも知れない。自分の実力と相談した上で妥協することも時に必要。

 

 

合格に必要な考え方

①(姿勢)目標への執着心:中国語を極めるということを標榜しているブログだが、前述の通り直前期にはそういった高尚な目標は一旦捨てた。

 2級の試験で合格点を取る、これだけに注力すると何をやるべきかも明確になる。

 結果として合格点が取れればそれ自体が大きな自信になる。

 

②(筆記)過去問の利用:もし過去問を一瞥してある程度読める感覚がある人は恐らく6割前後取れる実力が既にあると思う。

 そういう人はどんどん過去問を解いていけば7割の壁が越えられるはず。

「解く→答え合わせ」のサイクルを繰り返しながら新出単語を覚えるやり方は結構定着率が高い。

 また過去問には頻出題が結構多く含まれているので単純に得点力向上にもなる。

 中検は良問が多いので、得点力向上=中国語の実力向上にも繋がる。

 

③(筆記)語彙問題の注意点:2級の問題では、準1級レベルとおぼしき語彙も随所にちりばめられている。

 しかし2級合格のためには(8割以上の高得点を取る上でも)そのあたりまで分かっている必要はない。

 難しい単語の意味がよく分からなくても2級レベルの語彙さえマスターしていれば問題は解けるように作られている。

 大事なのはそういうノイズに翻弄されないこと。 

 2級では基本的な問題が解けるかということしか試されていない。

 例)"噢,(8),我明白了!" 

          (8)を埋める語句を選択:花言巧语,不懂装懂,原来如此,稀里糊涂

          →原来如此という頻出表現さえ知っていれば他を知らずとも正解出来る。

 

④(リスニング)焦らないこと:リスニングは全部聞き取れないのが当たり前で、あまり話が分からない場合でも7割8割の正解率になったりする。

 ちゃんと聞き取れている感覚が持てているならばほぼ満点が取れるだろう。

 ちゃんと聞けている感覚がなかなか持てなくとも、テスト直前まで諦めずに合格点ギリギリに滑り込む感覚で勉強を続けることが大事。 

 本番で聞き取れなくても、焦らずキーワードを掴もうとすること。

 

⑤(リスニング)レベル感:2級のリスニングは听写がない。

 つまり(特に長文では)意味が分からずとも、最悪キーワードの音だけ聞き取れていれば正答を選べる場合も結構ある。

 しかも割と分かりやすく話題を区切ってくれているので、難しい箇所を拾えなかったときも切り替えがやりやすくなっている(問題作成者の優しさを感じる)。

 

⑥(メンタル)力を出し切るために:本番に向けて徐々に気持ちを高めていくこと。

 私の場合は大学受験のときに読んでいた『ドラゴン桜』を本棚から取り出して読んだりしていた。

 できる限りの準備をしたらあとは本番で力を発揮するだけ。

 自分にとってのお守り的なものがあれば良いと思う。 

 

 

中検2級合格時点で出来ること出来ないこと

私の肌感になるが、中検2級の実力を評価してみたい(合格点ギリギリを想定)。

 

①聴く:上で貼ったようなHSK4/5級を目指す人に向けて作られた動画であれば完璧でないにしろかなり理解が出来る。

※ただし、Youtube上にある"HSK4/5級"と銘打った動画の中には普通にそのレベルを超えたものも紛れていて、そういったものを聴いてあまりよく分からなくても自信を失わないで良い。

 ↓下の動画は"分かればHSK5級を余裕で合格出来るレベル" 

youtu.be

 2級合格時点ではこの動画なら半分は分かる程度の理解度だと思う。そもそも長い音声を聴いて理解する訓練をしていないのでその点もネック。

 ネイティブ向けに作られた動画は字幕無しなら理解度は5~10%程度でまだ遠い。

 一方で2級に届く実力があれば栄養に出来るものの範囲も広がるので、PodcastYoutubeでよさげな動画を漁ってみると良いと思う(少なくとも教科書よりは面白い)。

 

②読む:興味のある分野についての文章であれば背景知識で補完しながら情報が拾えるようになる。

 WeChatなどで近しい友人の送ってくるメッセージは概ね理解出来るようになる。

 现代汉语词典も使えるようになる(語句の説明を読んだときの解像度は低め)。

 一方、中国語の雑誌を読んでも結構読める感覚を持つが、まだ分からない部分の方がずっと多い。

 ネイティブ向けに書かれた書籍はまだ難しく感じる。子供向けのものであっても中検の勉強では出てこなかった単語のオンパレードで案外敷居が高い(ネイティブの言語能力の源泉は語彙力にあると思う)。もちろん、想像力や読解力、背景知識をフル活用して読み切れるものもあるので頑張って"挑戦"することも出来る。この段階で原書を読むことはそのくらいの難易度だと思う。

※読み物については書かれた年代によっても難易度が違うように思う。最近の若い人が書いたものと半世紀前に書かれたものでは前者が圧倒的に読みやすい。日本語や英語の書籍でも同様なのでこれは世界的な傾向なのだと思う。その頃まではしっかりした書籍を読んで知識を得ることはある種の特殊な訓練を受けた人が享受できる特権だったのだろう。

 

③書く:中検3級レベルの基本的な簡体字であればある程度正確に書ける。

 教科書の基本的な構文であれば十分に使いこなすことが出来る。

 複雑な構文を駆使して込み入ったことを表現するには実力不足を感じる。

 そもそも書く事自体にまだ大きな負荷を感じる。

   

④話す:人によると思うが片言の中国語であれば詰まりながらも会話が可能。

 教科書に書いてあるような定型的な表現の枠を超えてある程度自分の言葉で話せるようになるが、そこから完全に離れて使いこなす段階とのレベル差は大きい。

 流暢とはほど遠い状態だが、この段階ではそこまで出来る必要性がないのであまり気にしなくても良い(2級までSpeakingの試験がないのもそのためと思われる)。

 

⑤語彙:これも大いに人によると思うが私の場合は語彙力はかなり貧弱だったと思う。

 HSK4級レベルの単語で分かるのは8-9割、5級レベルの単語は半分以下。

 プラスαで2級の頻出表現を知っていた程度(それでも語彙問題で8割得点できた)。

 語彙に関しては合格者間の個人差が最も大きいのが2級かも知れない(3級まではみんな大して単語を知らないし、準1級以上は語彙力はみんなある)。 

 

⑥総評:中国語の体系的な理解が自分の中で出来つつあり、中国語を使ってサバイバルすることが可能になる。

 適切な教材を自分で選び取る力もついてくる(「自立した使用者」たる由縁)。

 ただし、教科書から完全に自由になって生の中国語を消化吸収するだけの地力はまだ無い。

 総じて、相応の蓄積はあるものの、中国語に対する理解の深さや経験・訓練の絶対量がまだまだ少ない段階

 

 

 

長くなりましたが、以上にて私が2級を取るまでにやったことの紹介とさせて頂きます。

最後に、「さまよえる中級者」という言葉があるように、初級は楽勝だったはずの中国語も中級になると途端に何をどうやれば良いか分からなくなります。

そんななか2級は中級のど真ん中に位置します。

そういう意味で学習者にとって恰好の一里塚になるはずです。

取得するまでの苦労も多いですがそれだけの価値があります。

今回記載したものはあくまで一人の学習者の通った道ですが、皆さまの学習の一助になれば幸いです。

 

以上です。

それではまた。